松陰神社前の一番。ガクログ3.3。
目覚めると頭が重く体に力が入らない。時計の針も12時を超えている。状況把握に時間がかかったが、昨晩飲みすぎたワインのせいで記憶を無くすようにこの時間まで寝落ちしていたようだ。大切な休日の午前中を無駄にしてしまった上に、なかなか離れてくれない眠気とカチ割れるほどの頭痛に負けて今にも再び眠ってしまいそうだった。今寝たら絶対に気持ち良い。一度出た抜け殻のような毛布はまだ暖かさを保ったまま私のことを受け入れてくれる。いや待てよ、今寝たら次起きるのは夕方になってしまう。このまま起きて色々やり残していることをやらなければ。そんな人生で一万回くらい訪れるしょうもない葛藤の末に、私は無理やり自分の体を起こしてシャワーを浴びた。
この半分無駄にしてしまった今日という日を取り返すには大好きな町中華に行くしかない。そう、松陰神社前の一番だ。
松陰神社はいい町だ。商店街には古くから続く個人商店が多くあり、歩いていて退屈しない。新しくできているお店も個性があって町の雰囲気に馴染んでいる。ここでお店をやってる人はこの土地を愛し、みんなで協力して良い町を作ろうとしているのが伝わってくる。こんな素敵な商店街は他ではあまり見つからないだろう。その通りの中に一番はある。白い壁と青い屋根は今やヴィンテージマンションとして大人気の秀和レジデンスを彷彿とさせる。シンプルに真ん中に一番と書かれた暖簾。商店街を行き交う人の先で風になびく暖簾が美しい。私が知る中でも5本の指に入る美しい町中華だ。
店内は奥行きがあり広い。深紅の床や壁の模様に昭和を感じる。暖簾こそ新しくなったが、それ以外は大きく変わっていないことに安心した。入り口手前から四番目のカウンター席がお気に入り。調理するお父さんを目の前に座ることができる。餃子と炒飯を注文。まだ若干の気だるさが残っているので瓶ビールはやめておこう。今日はアルコールを一滴たりとも我が身に入れたくない。そう思っていたこの時までは…。
炒飯は厨房の奥で息子さんが、餃子は目の前のお父さんが担当。お父さんが時折苦しそうに顔をしかめていたのが気になった。昔はそんなことなかったのに。少し心配なところ。
餃子は不思議な焼き目。鉄鍋を使ってるはずなのに火加減にムラがある。これも一つの個性と受け止めよう。食べてみると想像以上にサックサク。これは一番にしかできない特殊な焼き方なのだろう。肉餡はお肉と野菜ともに細かくミンチされたラーメン屋さんでよく出てくるタイプで口の中に一気にニンニクの香りと肉汁が広がる。ぐぐぐ、先ほどまで脳と体が断固拒否していたアレを飲みたくなってきた。この餃子絶対にアレに合う。よし頼もう。口の中の餃子をなるべく噛まないようにして保存しつつ、アレを注文し、口の中に流し込む。餃子と最高のマリアージュ。整った。
炒飯はハムと卵のみで質素とシンプルどちらの言葉を使えば良いのかわからないのだが、私はこの炒飯を気に入っている。ハムがいい味出すんだよなぁ。味もさっぱりしてるから乳幼児でも食べれるだろう。そして途中から紅生姜を混ぜ込んで食べるのが最高。私は早くカレーの福神漬けのように炒飯に紅生姜が当たり前のように添えられてくる日を期待している。
実を言うと瓶ビールの半分くらいから気持ち悪さを感じたのだが、パッションで飲みきってごちそうさま。お父さんとお母さんから想像以上の感謝と挨拶を伝えられて退店。無駄にしてしまった午前中を取り返すかのような最高のお昼時間だった。また再び30分自転車を漕いで家に帰った。家に着いたことには満腹感と疲労、そして二日酔いに追い打ちをかけるような追いビールのせいで完全グロッキー状態で倒れこむようにソファに横になった。次に意識が戻った頃には夜の23時。失いかけて取り戻してまた失った33歳独身のしょうもない1日なのであった。あーめん。
店舗基本情報
店名:中国料理 一番
電話番号:03-3414-3354
予約可否 :不可
アクセス:
松陰神社前駅から78m
住所:東京都世田谷区若林4-20-10
URL:https://tabelog.com/tokyo/A1318/A131808/13139481/
営業時間
不明
定休日:不明
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