荻窪のことぶき食堂。ガクログ3.4。

このお店について書く前に言っておきたいことがある。
このガクログ3.4という数字は餃子の点数であり、お店に対するものではない。
お店を評価するとしたら4.0以上は確実なほど、素晴らしい町中華であった。

この町中華があるのは荻窪駅から徒歩12分ほどのところ。結構遠いので覚悟して向かった方がいい。
まずは暖簾からかっこいい。このタイプ初めて見た。中央部分が縦書きなのは高円寺の七面鳥や祖師ヶ谷大蔵の大勝軒と同じだけど、この朱色の暖簾は珍しい。看板のラーメン・定食お食事処という文言が創業63年を迎えるお店の歴史を感じさせる。

ガラガラっとお店のドアを開くと先客が1組だけだったので、1人にも関わらずテーブル席に通してもらった。
箱型のお店にはカウンターとテーブルがギュウギュウと並べられている。
壁の一番目立つところに北尾トロさんと下関マグロさんのサインが飾られている。さすがだ。
先代から受け継がれている青い紙のメニューが特徴的で可愛い。メニューをすべて書き換えるとき、同じ色合いの色紙をわざわざ探してきて書いたという。これからもこの色が変わることはないだろう。こういうところが町中華の好きなところ。家族の物語や歴史がある。これこそが町中華の浪漫なのだ！
豚の唐揚げ定食、通称ブタカラと餃子を注文。

厨房はお父さんとお母さんの2人。ホールは1人。
お父さんが全体の指揮を取りながら黙々と調理を進める一方でお母さんはホールの方にも目を配りながらテキパキと作業をこなしていくのが印象的だった。熟練のコンビネーションには一切の無駄な動きがない。惚れ惚れしてしまう。

注文してしばらくすると、厨房からはパチパチジュワジュワと私の豚肉が揚げられている音が響く。お腹がペコペコだった私にとっては拷問のような待ち時間だ。
そして厨房から漏れてくる湯気によって店内は煙のスモークでいっぱいになり、幻想的なムードが広がる。
雲海の中に1人ポツンと座っているようなそんな気持ちにさせてくれる。
ぼんやりとした雲海の先に日の出のように輝く一筋の光。餃子の登場だ。

少し大きめサイズで不揃いの形の餃子が6つ。
焼き目がなぜか薄焼き、よく焼きが交互に置かれている。これは薄焼き派とよく焼き派の２大勢力がいる餃子界のことを知っているからこその気配りなのだろうか。それとも偶然なのか。その答えはわからないが、創業63年の熟練の技だからこそ実現した奇跡の盛り合わせなのだろう。
ヒダはシンプルに４つほど。持っただけで餡がこぼれてしまいそうなくらい皮がふにゃふにゃ。
肉汁はあまりなのだが、野菜中心でふんわりと軽い肉餡は煮干の風味が特徴的。ラーメンスープをそのまま味付けに使っているのだろう。
ネチャネチャとしているのはよく練りこまれている証しだろう。
個人的にはもう少ししっかり肉餡の方が好みだ。

そしてことぶき食堂の名物、ブタカラの登場。
見た目は唐揚げというよりも竜田揚げっていう表現が似合うかもしれない。少し祖師ヶ谷大蔵の大勝軒の生姜焼きに似ている。
なんというオーラ。盛り方の迫力が尋常ではない。相撲の稽古部屋に突然外国人力士が入ってきた感覚。町中華界の黒船だ。
そして香りも破壊的。香りだけで白米食べきってしまうんじゃないかというくらい食欲をそそるワンパクな香りがする。もう写真を取っているのも辛いくらいヨダレが溢れ出る。
いざ食べてみるとカリカリの衣からジュワッとジューシーな油が染み出してくる。この油は決してくどくなく、サラリと上品な味。ご主人のこだわりで上質なラードを使っているかつ、脂が汚れる前に頻繁に新しい油に入れ替えているというから納得だ。
ニンニクと生姜の甘辛い味付けがしっかりと染み込んだ豚肉も分厚い見た目からは想像できないくらい柔らかい。

激ウマ！！！！

完全に反則。この味付けと豚肉のコンビが美味しくないはずがない。この菱田屋の生姜焼きと並ぶ白米ドロボーによってすぐに私の茶碗から白米は盗まれていった。
このメニューは私の町中華の唐揚げ部門の１位かもしれない。

箸休めで飲んだお味噌汁もびっくりするくらいおいしい。
お母さんがダシだけ取っておいて、注文の都度お味噌を入れて作っているというのだから驚きだ。
じゃがいもとワカメの優しい味のお味噌汁は荻窪市民のオフクロの味なんだろうな。

腹パン大満足で店を出た。
町中華の魅力がたっぷり詰まったことぶき食堂。
こんな最高なお店があるなんて荻窪の人が羨ましい。
美味しい町中華を見つけた喜びによってアドレナリン全開。帰り道はあっという間に駅に着いた。
今度はハムエッグをつまみに瓶ビールでも飲んでみようかな！

店舗基本情報
店名：ことぶき食堂
電話番号：03-3390-0545
予約可否 ：予約不可
アクセス:
荻窪駅から850m
住所：東京都杉並区桃井1-13-16
URL：https://tabelog.com/tokyo/A1319/A131906/13065853/
営業時間
11:00～21:00
定休日
日曜

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