高円寺の薮そば。ガクログ3.0。

蕎麦屋で餃子が食べられる。
そんな嘘みたいな噂を耳にして高円寺までやってきた。
私からしたら、歌って踊れる内閣総理大臣が誕生したくらいのサプライズだ。

高円寺の商店街を突き抜けて歩いていく。
駅から離れれば離れるほど、チェーン店は減り、個人商店が多くなってくる。
寂びれたお店も多いのだが、こっちの方が少し落ち着く。本来の高円寺という感じ。
途中でほぼ瀕死状態のピーポくんを発見。日射病だろうか。すでに白目をむいていた。
助けてあげたいが、私は先を急がねばならぬ用事があるんだ。すまない。

薮そばは紺色のテントに白抜きの文字。いかにもお蕎麦やさんと言った感じの落ち着いた外観。
外に並ぶ出前用のカブはまだまだ現役で働いている様子だった。
関口宏のフレンドパークのデリそばデラックスのように2人乗りではないようだ。

店内には小上がりが一つとテーブル席が並ぶ。
壁にメニューが貼ってあるのだが、かなりカオス。
お蕎麦のメニューの他にカツ丼、カレー、オムライス、焼肉定食、チャーハン、そして餃子まで、和食だけではなく、洋食や中華料理のメニューがずらり。
そこらへんのサービスエリアよりもメニューのバリエーションが豊富。

店内をキョロキョロしているとお母さんが「メニューが豊富でしょう」と話しかけてくれた。
何でこんなにいろんなメニューがあるのか聞いたところ、常連さんが食べたがるからメニューに追加したという。
ということは常連になれば好きな料理をメニューに追加できるのか！
まだ１回目で常連ではないけど、メニューにない料理を注文してみようと決意して、お母さんに「ピッツァ」を注文。
薮そばにピッツァが追加されたら、蕎麦屋でピッツァを出す日本で初めてのお店になれるのではないかという期待があったのだが、もちろんお母さんからは何それ？という反応。発音の問題の可能性もあったので、「ピザ」と言い直したが、メニューにないと断られてしまった。
それもそうだろう。まだまだメニュー以外の料理を注文できる常連には程遠い。
今回は大人しく、ざる蕎麦と餃子を注文した。

お冷のコップが昭和40年時代の保証牛乳のもので骨董品屋さんでたまに見かける超お宝。
すごすぎる。さすがは創業60年近い薮そば。お父さんは今年で85歳だそうだ。
店内にお父さんとお母さんのツーショット写真がいくつか貼ってあるのがほっこりする。
夫婦円満が長年お店を続けられる秘訣なのだろう。

ざる蕎麦と餃子が登場。
ざる蕎麦の見た目は至って普通。
普段お蕎麦を食べない私には数年ぶりのお蕎麦は美味しく感じたが、友人曰くイマイチだったらしい。
ただ、お蕎麦と餃子が並んだ姿は感動的だった。
金正恩朝鮮労働党委員長とドナルド・トランプの歴史的握手の瞬間を見ているようだ。

餃子は焼き目が完璧。お母さんがずっと見張っていてくれたんだ。
お皿もカラフルで可愛い。
ただ餃子自体は冷凍だった。蕎麦屋で手作り餃子は流石に厳しいか。
味は普通の冷凍餃子なのだが、ごま油を強めで焼いていたので、普通のものよりも美味しかった。

お蕎麦と餃子という本来一緒のテーブルに並ぶことのない料理が目の前にあるのは感動的であった。
意外と食べ合わせ的にも悪くはなかった。いや、むしろ良かった。
今後も常連のわがままにより増え続ける薮そばのメニューにピッツァが追加され、餃子×蕎麦×ピッツァを食べられる日が来るかもしれない。
その瞬間に立ち会うことができれば、餃子好きとしてこれ以上の幸せはないかもしれない。
お父さんとお母さん、お体に気をつけてこれからも長くお店を続けていってください。

店舗基本情報
店名：薮そば （やぶそば）
電話番号：03-3337-2323
予約可否 ：予約不可
アクセス:
ＪＲ中央線【高円寺駅】北口　徒歩５分
高円寺駅から325m
住所：東京都杉並区高円寺北3-8-13
URL：https://tabelog.com/tokyo/A1319/A131904/13067414/
営業時間
11：00～20：00くらいまで。
ヒマだから休憩（中休み）なしで通し営業ですよと、女将さん談。
定休日
火曜日

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